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遺言に「遺産は全て兄に相続させる」とありましたが、私は全くもらえないのでしょうか
父が亡くなり、相続人は私と兄の2人です。実家のたんすから公正証書遺言が見つかり、遺産はすべて兄に相続させる、と書いてありました。私は父の遺産を全くもらえないのでしょうか?なお、父の遺産は預金1000万円だけです。
故人の意思を尊重するため、遺言は、ある相続人のみに相続させる(他の相続人には一切相続させない)こととしても、有効となります。他方、推定相続人の期待権を保護するため、民法では「遺留分」が定められています。遺留分とは、簡単に言うと、遺言によって侵害されたとしても、遺留分減殺請求により回復することができる相続財産の割合のことです。
具体的な計算方法は、遺留分は、どのように計算されますか?で示します。
なお、遺留分を侵害する遺言は、一応有効ですので、何もしないでいて遺留分相当の財産がもらえるわけではありません。相続開始または遺留分の侵害を知った時から1年以内に、遺言により財産を取得した相続人に対し、「遺留分減殺請求」の意思表示をしなければなりません。
また、相続開始や遺留分の侵害を知らなくても、相続開始日から10年を経過すると、遺留分減殺請求権は時効により消滅します。なお、遺留分減殺請求の対象は、相続開始時に存在した相続財産だけでなく、相続開始前1年以内にされた生前贈与にも及びます。