九州建設アスベスト訴訟・提訴から1年
九州建設アスベスト訴訟を福岡地裁に提訴してこの10月5日でちょうど1年になります。
この訴訟の原告は患者単位で19名、福岡、大分、長崎の原告です。建設労働者の労働組合の組合員さんが中心です。被告はメーカー44社と国です。
この間4回の裁判期日が開かれ、弁護士や原告本人からの意見陳述が行われています。
この裁判の中で見えてきたのは被害実態の悲惨さと国やメーカーの責任の重さです。
原告(患者)たちは、粉じんの恐ろしさも知らされず、一生懸命働いてきた結果、肺がんや中皮腫、石綿肺による呼吸困難などひどい被害を受けてしまいました。患者本人がこのような病気のために亡くなり、遺族として裁判の原告になっている方も少なくありません。
一方、国やメーカーはアスベストの危険性を古くから知りながら、何の対策もとってきませんでした。アスベスト製品を宣伝し、使用を強制さえしてきました。全く理不尽なことであり、患者は必ず救済されなければなりません。
アスベスト被害の潜伏期は10年から50年、製品の使用のピークは1990年までということですから、今後も被害者の多発が予想されています。アスベストの7割が建材に使用されてきており、建設労働者の被害がもっとも心配です。
しかし、この事実を知っている建設関係者はごく限られています。
多くの方々は、このような事実を知らされずに病気と闘っています。
この裁判で国とメーカーの責任を明らかにすることによって、後に続く被害者に対する補償制度の充実、さらにはアスベスト被害根絶のための取り組みを進める力にしたいと思います。
事務所からも、山本が弁護団長となり、梶原、深堀、榮が弁護団に参加しています。「あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害」の実現のために、今後も最大限の努力をしていくつもりです。
11月には第5回裁判期日、そして年明けからは、いよいよ、証人、原告本人尋問が始まるため多数回の裁判期日が予定されています。
皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
建設アスベスト訴訟とは・・・
アスベスト(石綿)を含む建材を使用した建設作業従事者が、作業中に大量に発生する粉じんを吸って、肺がんや中皮腫等の重い病を発症しました。
アスベスト建材を製造販売した企業と、アスベストの使用を規制しなかった国を相手取り、損害賠償を求める訴訟が全国で提起されています。