学習会「遺品が語る戦争の実相」に参加しました
11月25日に福岡青法協という弁護士グループの学習会で、私設「兵士・庶民の戦争資料館」の館長である武富慈海氏をお招きして、遺品から読み取れる戦争の実相についてお話し頂きました。
資料館は、初代館長である亡武富登巳男氏が自身の兵士としての戦争体験から、戦争の反省と後世への教訓を残すために、1979年7月1日に設立されました。現在3代目館長として子の武富慈海氏が引き継いでいます。
今回の学習会では、館長のご厚意で、実際に戦争で使用された三八式歩兵銃・背嚢・鉄帽・千人針等の資料をお持ちいただきました。
三八式歩兵銃は肩に食い込むくらいの重さで、こんなものを抱えて長い距離を行軍していたのかと思いました。
「戦う輜重兵(しちょうへい)-大下敏郎戦中日記抄」という書籍も紹介されていました。これは、中国に従軍した大下さんがメモ帳に書いた日記をお腹に隠し持って復員し、それを武富登巳男氏がまとめたもので、資料価値の高い物です。内容は、兵士の自殺、逃亡、病死、戦死、負傷、徴発(現地民から強制的に食糧などを取り上げる)、ゲリラの襲撃等々、戦争の実相が浮かび上がるものでした。
武富氏からは参加者にクイズが出されて、これも興味深かったのでいくつか紹介いたします(正解は文末に)。
Q1 太平洋戦争の戦闘員の戦死者は、陸軍165万人、海軍47万人とされる(1964年3月厚生省調査)、このうち広義の餓死による死者の比率は?
A 10% B 40% C 70%
Q2 日本兵の捕虜(1945年8月15日前)の総数は?
A 2千人 B 1万人 C 5万人
Q3 日本本土以外の外地で戦死者のうち、平成18年3月31日時点で遺骨が日本に戻って来ていない数は?
A 20万人 B 50万人 C 80万人 D 100万人
Q4 昭和天皇が戦時中の昭和19年(1944年)ごろ、居間に飾ってあった2つの肖像画は、ダーウインと、ある外国の政治家であった。誰か?
Q5 「太平洋戦争」と命名したのは?
A 占領軍 B 文部省 C 日本海軍
【クイズの正解】
Q1→C 70%(兵站が延びきって、制海権をおさえられ、食糧の補給が断たれる中で南方では多くの餓死者が出ています)
Q2→C 5万人
Q3→D 100万人
Q4→リンカーン(但し、武富氏は日本が占領される前に元々飾っていたナポレオンと差し替えたのではないかと仰っていました)
Q5→C 日本海軍
2022年12月2日~27日の期間、兵士・庶民の戦争資料館では企画展「赤紙と徴兵」展を行っています。興味のある方は行かれてみてはいかがでしょうか。
会場:福岡県鞍手郡小竹町御徳415-13
開館時間:午後1時30分~午後5時
休館日:毎週水曜日と木曜日
入館料:無料
問い合わせ先:0949-62-8565(事前にお電話が必要です)