中山篤志 弁護士記事

2024年1月21日(日)

HPVワクチン薬害訴訟報告-原告本人尋問始まる

 HPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)の接種により、重篤な副反応に苦しんでいる被害者が製薬企業2社と国を相手にした訴訟で、1月22日の福岡地裁で原告本人尋問が全国(東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁に係属しています)に先駆けて行われます。
 「被害に始まり、被害に終わる。」九州は水俣病訴訟をはじめ、集団訴訟のメッカであり、伝統的に先駆者から被害をいかに伝えるかの重要性についてこのフレーズが継承されてきました。
 尋問に先立って原告から被害を聴き取ることは、被害の辛い思い出が時間の経過によってかさぶた状になっていたものをひっぺがえす辛い作業です。被害者が厳しい被害状況に適応するために被害である認識がないということもあります。しかし、原告と弁護士が被害を直視して、その本質に近づけた時、裁判が大きく動くことがあります。そして、原告自身も被害者としての権利主体性を獲得できると言われています。
 私は、薬害肝炎訴訟で当時20代だった女性原告の尋問を3人の弁護士のチームの一人として担当しました。聴き取りの時に、青春を謳歌していた同世代の女性たちへの呪詛的な言葉が出たり、友人から外出に誘われても断っていたという事実が語られました。それが一体何なのかという思いで聴き取りを進めていった結果、彼女が当時受けていた治療の副作用のため激しい痒みがあり、顔に搔きむしった跡が残っていたためひきこもりがちになっていたこと、そのことによって自己肯定感を失っていたこと、成人式を病室で過ごして自分だけこんな目に遭うことの理不尽さに心が折れたということなど、(当時は)致死性・進行性・難治性の病気であったC型肝炎を発症していたことを端緒として、将来の展望が失われた彼女の絶望感・孤独感という被害の一端に触れることができ、尋問でも述べてもらいました。
 1月22日13時15分から17時ころまでに実施される2人の原告本人尋問でもHPVワクチンを接種したことにより被った被害の実相に迫る尋問が行われると思います。
 4月17日、7月10日も同じ時間帯で2人ずつ尋問が行われます。
 当日は、12時から12時半までに福岡地方裁判所の後方裏手で傍聴抽選が行われます。外れた方にも裁判所に隣接する弁護士会館で弁護団による企画を準備していますのでふるってご参加ください。

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中山篤志 弁護士

弁護士登録:2002年

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