中山篤志 弁護士記事

2024年7月28日(日)

HPVワクチン薬害訴訟報告-原告本人尋問始まる その3

 7月10日(月)に福岡地裁で行われたHPVワクチン薬害訴訟で私が担当する原告13番さんの本人尋問が行われました。
 13番さんは、HPVワクチン接種前の小中学校時代は女子サッカーやソフトボールなどを頑張っていた元気娘で、得意の英語を活かして国際線のキャビンアテンダント(CA)になりたい夢を持っていました。
 しかし、高校1年の3回目のHPVワクチン接種後に腹痛や、倦怠感や手足の震えなどの副反応が出現し、遅刻や早退が増えていきました。
 高校3年の時にワクチン被害の報道を見ておられた校長先生が保健の先生に話を繋いでくれて鹿児島大学病院のことを知り、副反応被害を解消するための治療が始まります。
 彼女は、時期を違えて2つの病院でじっくりと話を聞いてもらったうえでの認知行動療法(認知の歪みを正して、行動を修正してストレスを減じる精神療法)も受けました。高校3年の5月に受診した国立病院では、副反応による体調不良によって交際相手が(病名もわからない中でなかなか会えないことで)彼女に不満を抱き、激しい嫌がらせをしたことがあり、そのようなストレスにより症状が起きるのは当然のこととして行動の変容を促されたことで精神状態が改善しました。また、大学1年の夏に鹿児島大学病院に入院した際にはてんかん発作(副反応症状)による二次性の恐怖症的な反応(正常な反応)であり、認知行動療法により精神状態は緩和しました。
 しかし、副反応自体は認知行動療法では改善するわけではなく、自己免疫疾患を想定した免疫吸着療法により完全ではないものの回復していきました。このように、13番さんは被告企業が言う心の病説では合理的な説明がつかない転帰をたどっているのです。
 それでも被告企業は1時間もの反対尋問で、小中学校でいじめを受けていた、親との関係がうまくいっていなかった等とストレスの原因があったことをことさらに強調した質問をしてきましたが、13番さんは淡々と答えていき、主尋問とあいまって心の病説にはいかにも無理があることが明らかになったと思います。
 13番さんは、体調不良により、大学では留年をせざるを得なくなり、体調に不安があるためCAになる夢をあきらめ、他に希望する仕事を続けることができず、今年の春から在宅中心の仕事ということで初めて正職員になれました。
 最後に、13番さんは「ワクチンを打ってから10年間も頑張ってきたけど一度も製薬会社は向き合ってくれなかった。裁判を降りようかと考えたこともありましたが、未来を決める裁判だと思い、裁判官に私の10年間を知ってもらおうと思い、法廷に立ちました。」と力強く訴えました。
 次回の10月7日(月)には被告側の専門家証人の主尋問が行われます。ふるってご参加ください。

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