深堀寿美 弁護士記事

2023年11月13日(月)

女性合格者数増と割合増!-令和5年度の司法試験合格発表

11月8日、令和5年度の司法試験合格発表がありました。報道によりますと、今年の合格者は1781名で昨年より378名増、内女性合格者数は524名、率にして29.42%となっており、昨年の389名、28%から数も割合も増加しています。また、今年のトピックとして法科大学院卒業前の3年時の受験が認められて、在学中合格者は637名、在学中合格者の受験者に対する割合が59.53%となっていて、全体の合格率45.34%よりも高いことが指摘されています。その関係もあって、合格者増になったのではないか、という報道もありました。
福岡では毎年「来たれ、リーガル女子!」という女性弁護士を増やそうというイベントを行っています(福岡県弁護士会主催)が、2018年11月に西南学院大学で開催したのが初めてでした。その時、高校3年生で参加してくれていて、翌年法学部に進学し、法曹コースを選択し3年で学部を卒業し、法科大学院既習コース3年生次(既修者は2年生から)の受験者が合格している可能性もあります。11月9日に所用があって、福岡地方検察庁の前を通りがかったのですが、検察庁の掲示板に、福岡市で受験して合格した50名の受験番号が張り出されていました。この50名の中に福岡の「リーガル女子!」出身者がいるかもね、とワクワクしました。今後も、「リーガル女子!」イベントなど、女性弁護士の絶対数・割合を増加させる活動に関わっていきたいと思います。
今年度、文科省が「法曹コース」というものを設置して、スタンダードな法曹教育を最短6年(学部3年+ロースクール2年+司法修習1年)を受けて実務家になる道を開き、今年の合格発表で、このコースを取っていける相応の可能性を示したことになります。
ただ、法科大学院3年生次に受験できるとなると、その前年は、どうしても、受験資格取得(3年生への進学)、に加え、受験した場合の合格可能性を上げる教育に傾倒せざるをえず、本来ロースクールに期待された法曹養成教育の趣旨が没却されてしまうのではないのか心配します。学部を3年生で卒業するにしても、単位が取れれば良い、という訳ではなくよい成績も要求されています。私は、法曹実務家には全てジェンダーの素養が必要で、ロースクールでそのためのジェンダー教育が不可欠だと思っているのですが、「資格取得」が優先されたら、受験に直接関係しないジェンダー教育のような基本的資質養成が後回しになってしまうのは目に見えています。勿論、合格後、ロースクールを卒業しないといけないので、合格発表後にも教育の機会はあるといえますが、3年生次に合格できなかったら、1年遅れの3年生卒業後の試験で是が非でも..となるので、やっぱり、資質養成はきっと後回しです。

大学・大学院の学費問題もありますが、弁護士仲間とこの話をすると「そんなに急がなくても先は長いんだけどね」という感想をよく聞きます。時代が変わってきているのでしょうね。

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弁護士紹介深堀 寿美

深堀寿美 弁護士

弁護士登録:1993年

相談者・依頼者が困っておられる内容の原因究明に務め、解決に必要な法的手続その他行政手続のご提案等ができるよう務めます。何でもご相談下さい。