深堀寿美 弁護士記事

2025年3月31日(月)

自分の子どもと養子縁組?複雑な親子身分制度

私は、比較的多数の離婚事件を担当させていただいているのですが、最近、担当させていただいた事例で、自分の実子である連れ子と「養子縁組」をしている事例を担当しました。なんでそんなことを、と、当人に伺っても「さあ、役所の人がそうしろって言うから」という回答しか得られません。また、別の事例では、自分の実子を連れ子にして再婚後の相手方との間で、実子と相手方との間にだけ、養子縁組がされていました。両者の違いは、後者が、連れ子の実子が婚姻関係にある当事者間の婚内子であるのに対して、前者が、連れ子の実子が婚外子であった、というところでした。
相続分を婚外子(非嫡出子)と婚内子(嫡出子)で差別していた旧民法900条は、最高裁判所による「違憲判決」を受けて平成25年12月5日に改正され、区別に意味がなくなったはずなのに、現在でも、出生届には「父母との続き柄」欄に「嫡出子・嫡出でない子」のチェック欄があります。ヘンテコな話、前者でいうと、実子の連れ子と養子縁組をしない場合、連れ子は「婚外子」のままですが、後者の場合、実子の連れ子は、既に「婚内子=嫡出子」なので、わざわざ養子縁組をしなくても身分?に変化はありません。そんなところに役所の忖度が働いたのかな、と考えています。ただ、当事者さんから再婚相手との離婚及び実子の離縁手続きの依頼を受けた場合、煩雑なことを先行させていると、離婚・離縁手続きも煩雑にならざるを得ず、なんでそんなことするの?と言いたくなります。世間は、未だに「婚外子」に対して差別感情を抱いているのでしょうか?
「婚外子」を戸籍上明示するものとして、上記でも延べた「続柄」欄の記載、というものがあり、婚内子=嫡出子の場合は、「長女」とか「二男」などという記載になるのに対して、婚外子は「男」とか「女」という記載のみです。この記載が「婚外子差別」の根源になる、として、相続分違憲判決前に、裁判での指摘を受け、平成16年11月1日から、申請することにより「男」を「長男」とか「二男」とかに変更して記載することもできるようにもなっていました。ただ、別の依頼者は、離婚再婚を繰り返したために、3人のお子さん、みなさん、続柄が「長男」と記載されてもいました。「長男」というのは、AとBとの間の婚姻内に誕生した一番目の男の子、ということなので、Aが今度Cと婚姻して、第一子の男の子が誕生したら、AとCの「長男」なのです。それを繰り返して、長男が3人になっています。
昨今、問題になっている選択的夫婦別姓制度の採用に関して、家族関係を示すものとして「ファミリーネームの一体感」が主張されることもありますが、現状では、3組に1組が離婚をしています。現行の民法のように「ファミリーネームを統一」することを強要していると、再婚する連れ子の子ども達も従前の姓をどうするかも複雑になってしまいます。
昨年改正された民法では、新たに離婚後共同親権が設けられたり、その関係で「監護権」の範囲をどうするかを決めなければならなくなったり、親権者の決定はひとまず棚上げして離婚だけできる制度になったりと、現行と違う点が沢山あります。家庭裁判所での話し合い等をどのようにしていくのか、まだ検討中で、弁護士にも全部わかっているわけではありませんが、改正民法の施行がご自身の「離婚」に関わりそうであれば、一度、弁護士に相談してみるのがよいと思います。

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深堀寿美 弁護士

弁護士登録:1993年

相談者・依頼者が困っておられる内容の原因究明に務め、解決に必要な法的手続その他行政手続のご提案等ができるよう務めます。何でもご相談下さい。