核兵器廃絶のために
原水爆禁止福岡県協議会(福岡県原水協)の代表理事をしています。
現在、ロシアがウクライナに侵攻しています。アメリカがイラクに侵攻したのが2003年でしたから、19年ぶりに核兵器をもつ大国が戦争をしているという事態です。プーチンは核兵器に言及するなど核戦争の危険が高まっています。
しかし一方では核兵器禁止条約が2017年に採択され、昨年(2021年)50カ国の批准が達成されて発効しています(現在は批准が68カ国、署名が91カ国)。
あらためて条約を見てみれば、この条約は、核兵器の使用はヒバクシャに「容認しがたい苦痛と被害」をもたらし、人類社会に「壊滅的人道上の結末」をもたらすとしています。そして、それを免れるためには核兵器の禁止と廃絶が必要だとしているのです。あたりまえのことではありますが、それでもこのような内容の条約が法的な効力を持つ意義はいくら強調してもしきれないほどです。
核保有国や日本政府は「核の傘による平和」という考えに固執しています。しかし、ロシアの核兵器使用の心配から見ても、核を持つこと自体が危険であることは明らかです。これに対抗するのに、核兵器禁止条約は大きな力となります。まったく正しい、あたりまえのことである核兵器は禁止されるべきということ、それを定めた条約が発効の条件を満たして国際社会での基準となったのです。核保有国に対して大きな圧力がかかっています。
国連総会での採択の際も、批准国が増えていったのも、被爆者の訴えや多くの署名が力になりました。この条約には「核兵器完全廃絶の呼び掛けのような、人道原則を促進するための市民的良心の役割を強調し、(中略)多数の非政府組織およびヒバクシャの取り組みを認め」と記載されています。被爆者や市民の草の根の運動が条約をもたらしたことが書き込まれているのです。
私たちの事務所もかわら版をお送りする際などに署名をお願いして多くの方に協力をいただいてきました。ありがとうございました。ひとりひとりの署名などの力がどのくらいあるのだろうかと不安になることもありますが、この過程をみれば、それは大きな力になることがわかると思います。
被爆者や私たちの訴え、署名の進展などが国際世論に与えた影響は小さくないと思います。自信を持ってこれからも運動をすすめて行きたいと思っております。これからもご協力をお願いすることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。