なくせじん肺アスベストキャラバンを行いました
今年で34回目となる「なくせじん肺アスベストキャラバン」を10月に行いました。じん肺やアスベスト訴訟の解決を求めて、国や加害企業に要請を行い、街頭で宣伝をしたりする取り組みです。また新たな被害の防止に向けて提言を行い、労働局や自治体にも要請を行ったりと、全国各地で被害者や弁護団、支援団体が活動をするのです。集会や学習会も行いってきました。34年間の間には、石炭じん肺の解決、じん肺に合併した肺がんを労災と認めさせる、じん肺防止対策の拡充など、大きな成果を上げてきてもいます。特に福岡でのキャラバンでは、いち早く建物解体現場でのアスベスト対策の強化を図る必要があると議論し、この間3回にわたってその問題を訴えるシンポジウムなどを開催してきました。
今年のキャラバンでは、アスベスト建材の確認に欠かせないアスベストアナライザー(手持ちのアスベスト発見装置)が全国の官公署に普及しつつあることが確認できました。労基署の職員がそれを使って、アスベストがないとされていた建物解体現場でアスベストを発見して対策をとらせた例も聞くことができました。福岡県では、担当者が解体工事の届出をエクセルで検索できるようにして指導監督に役立てようとしていることの報告もありました。少しづつですが、私たちの取り組みの成果が表れてきていることを実感できたのです。
コロナで中断していた国会要請デモ(最近は「パレード」と言うそうです)も実施でき、気勢をあげることもできました。
一方では、まだまだ建物解体現場でアスベスト飛散を防止するための検査担当者の資格制度が十分でない、指導監督すべき監督署や自治体の職員数が圧倒的に足りない、普段から危険個所を把握するためのハザードマップ作りが十分でない、被害者が基金制度によってより容易に補償を受けられるようにする必要があるなど、多くの問題が残されています。今後も活動を続ける必要があります。
私はこのキャラバンに33回関わってきました(途中の1回は弁護士会の役職についていたため参加ができませんでした。これは私にとって生涯の汚点ともいうべき残念なことだと感じています)。キャラバンカーに乗って、大分、高知、香川、岡山と何日もかけて回ってきたこともあります。加害企業の前で、被害者の遺影を並べて般若心経を読経したこともあります。
歩みは決して早くはないのですが、少しづつ成果をあげていることを実感できる運動は本当に楽しいものです。