「石綿健康被害を増やさないためのシンポジウム」を行います
日時 7月7日(日曜日)13時30分開場(14時開演)
場所 福岡市中央市民センター大ホール
福県県建設労働組合主催で、福岡県、福岡市、福岡労働九州地方整備局九州地方整備局等が後援です。私たち九州建設アスベスト訴訟弁護団も関わっております。
アスベストを使用している建物の解体は今後も続き、2028年ころにピークを迎えると言われています。アスベストが使用されている建物の解体の際には、事前調査や解体方法について規制があります。しかしこの規制に従って建物解体を行うには相当な費用がかかります。資格を有する者による調査費用が新たにかかり、重機でなく手ばらしで解体を行うために費用が増えるなどの事態が生じるのです。アスベスト建材の廃材処理にも費用が余計にかかります。これらは当然、建物所有者の負担です。そうした「負担」は、十分な調査や解体方法をとることの障害となりかねません。費用負担を避け、解体を今まで通りの費用で行おうとして、十分な調査を行わずにアスベスト建材を見逃すなどのおそれがあるのです。今のままではこれは避けられないことではないでしょうか。
また、アスベストの調査や解体の際の費用補助の制度をみると、それは全ての自治体に備わっているわけではありません。補助制度をもうけている自治体でも費用の一部しか補助されない仕組みになっています。なによりも知られていないことや、予算の関係もあって補助制度の利用はわずかにとどまっています。
このままであれば、解体にともなって多くのアスベスト粉じんが飛散し、解体工事従事者や建物の近くに住んでいる住民に、中皮腫や肺がんなどのアスベスト被害が広がらないか心配なのです。工場からのアスベストで住民に被害が広がった「クボタショック」のような事態は避けられなければなりません。
私たちは、毎年10月の「なくせじん肺、アスベスト全国キャラバン」などで、建物解体規制の不十分さや、補助制度の充実などを訴えてまいりました。それが制度の一定程度の改革(大気汚染防止法などの改正)を実現した力のひとつになったのではないかと思っています。しかしまだまだアスベスト被害を防止するためにやるべきことは多く残っているのではないでしょうか。
シンポジウムでは医師や、行政の担当者、建物のアスベスト調査や解体作業従事者などから、現状について報告をしてもらい、被害拡大を防止するためにどうすればよいかを考えたいと思っております。シンポジウムの副題は「行政の皆さんとともに、事業者・発注者・住民で考えるリスクコミュニケーション」としています。ぜひ多くの方々にご参加いただき、アスベストを使用している建物の解体問題についての現状をご理解いただき、関心をもってともに考えていただきたいと思っております。
多くの方々のご参加をお待ちしております。