九州建設アスベスト訴訟・2陣も企業に勝訴
6月27日、九州建設アスベスト訴訟2陣の地裁判決が行われました。福岡地方裁判所は、アスベスト建材メーカーであるニチアス、A&Aマテリアル、ノザワ、太平洋セメント、MMK(三菱マテリアル建材)の責任を断罪しました。24名中4名の敗訴者を出してはいますが、企業4社の責任が認められた意義は大きいと考えています。
建設アスベスト訴訟の1陣の成果などにより、国は謝罪をして和解に応じ、裁判を起こさずに補償をおこなう基金(被害の半分を国が補償)を作るところまで進んでいます。しかし企業は、最高裁で責任を認める判断が出されたのにも関わらず、争いをやめません。細々とした言い分を並べて自分の建材は被害者が使ったとは限らないなどと主張して抵抗を続けているのです。
そもそも国の責任は企業を規制して建材の危険性を警告させなかったことにあります。その国が責任を認めて解決をしようとしているのに、自ら警告をしようとしなかった張本人の企業が争い続けるのは、たいへんおかしな事態だと言えるでしょう。
九州訴訟よりも規模の大きな首都圏・東京の建設アスベスト訴訟では、最高裁で責任を認められたあとの差戻審で、東京高裁が企業との和解を進めようとしています。私たちのこの判決はこの動きを促し、和解による解決、企業の基金への参加を切り開く力になるものでした。
私たちは全国の動きとも呼応して、2陣の解決を求め、それに続く3陣訴訟でも勝利して、企業に基金に参加させて、補償をより完全なものにしたいと考えています。また、判決で責任が認められなかった屋外作業や解体作業についても、同じような作業で、同じような被害が出ているのですから、ここだけ責任がないなどということはありません。この責任を認めさせるためにも闘いを続けます。
アスベストのもたらす肺がん、中皮腫、石綿肺などの病気は、きわめて苦しい症状を生じさせ、短期間で命まで奪うような重たい病気です。これからも建物解体によって、解体作業者や住民に新たな患者が生じることが心配です。私たちは7月7日、14時から、福岡市中央市民センターで「石綿健康被害を増やさないためのシンポジウム」を開催し、被害防止のために行うべきことを明らかにしようとしています(シンポジウムの詳細は、下記添付のチラシをご覧いただくか、このホームページの5月17日の記事をご覧ください)。
被害の補償、根絶のためにまだまだやるべきことはたくさんあります。私たちは、全国の訴訟団、支援の労働組合などとも一緒になって取り組みを進めます(当事務所の弁護団員は山本・弁護団長、梶原、深堀)。ご理解とご支援を今後ともお願いいたします。シンポジウムにもぜひ多数ご参加ください。