山本一行 弁護士記事

2025年4月14日(月)

マイナンバーカードの危険性

 先日の西日本新聞に、修学旅行に出かける子どもや保育園児に、けがなどに備えてマイナンバーカードの写しを持たせても使用はできないという記事が出ていました。そもそもマイナンバーカードと保険証を一体化させるのは、過去の治療履歴にアクセスしやすくするとともに、過誤払い防止も目的とされていました。利便性の向上が目的だったのです。しかし、今までの保険証でも不都合はほんのわずかでした(資格過誤などのケースはわずか0.27%ということでした)。一方、マイナンバーカードについては、紐づけのミスや名前などの誤りによるミスが度々報道されています。その上に、これまで保険証でできていたコピーによる確認ができなくなるというのです。利便性向上どころか、不便になってしまう制度だと思います。
 自動車運転免許証とマイナンバーカードの一体化も進められています。これも過誤がいろいろと出てくるのでしょう。それ以上に問題なのは、運転免許証の顔写真の活用です。マイナンバーカードとの一体化が、この運転免許証の顔写真の活用に道を開く危険があります。顔人証システムは、スマホなどで実感されている方もいると思いますが、たいへんに進化しています。瞬時に人を識別します。これが社会のあちこちに設置されている監視カメラによって利用可能ということになります。運転免許証の保有者は8199万人(令和2年)と言われています。国によって国民の大多数がいつでも監視可能ということになりかねません。監視カメラは防犯に有効な面もありますが、こんな大規模監視の体制は不要であって、気持ち悪い、国民の活動に萎縮効果を生むと思いませんか。EUでは顔人証データの収集が厳しく制限されていますが、日本ではそうなっていないのです。
 また、マイナンバーカードに埋め込まれているチップは、空き容量がかなりたくさんあります。民間企業もこれを狙っているようです。アメリカでのことだそうですが、高校生の子のところに妊婦に向けた案内がカード会社から送られてきたそうです。それを知った親は馬鹿げたDMだと怒ってカード会社に電話しました。でも本当に妊娠していたそうです。親よりも詳しい情報を他人が持つなんてと思ってしまいます。このほか、例えば図書館の利用に活用されるようになると、思想を監視することもできるようになります。
 実は福岡でもマイナンバー違憲九州訴訟を提起しておりました。2023年3月に最高裁で敗訴が確定したのですが、その後もマイナンバーをめぐっては危ない状況がどんどん進んでいるように思えます。見せかけの、中身のない「利便性」に騙されないようにしなければなりません。 

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弁護士紹介山本 一行

山本一行 弁護士

弁護士登録:1983年

石炭のじん肺訴訟にうちこんできました。その経験を生かして様々な事件に頑張りたいと思います。