終活についての講演を行いました
弁護士の星野です。
2019年9月10日(火),当事務所の市民向け講演,暮らしの法律講座として「終活を考える~遺言と遺産分割のあれこれ~」を開催しました。
多数ご参加いただき,誠にありがとうございました。
「終活」という名前が普及する前から,弁護士は「終活」に関わってきました。いわば弁護士は「終活」のプロでもあります。気になるときは,ぜひ一度ご相談ください。
さて,遺産分割の争いは,はじまってしまうとたいへんなものです。だからこそ,はじめさせないことが肝要です。遺産に関する相続争いを起こさせないためにも,遺言は有効な手段です。争いを完全に防ぐことができるわけではないですが,故人の意思が明確になることで防ぐことができる争いも多くあります。
縁起良く人生の新たな旅立ちに向かうために,終活を考えてみられませんか?
終活に,遅すぎることも,早すぎることもありません。今のうちに,元気なうちに,人生の終わりまで自分らしくありたいという思いを形に残しましょう。
以下で,講演の内容を少しだけご紹介します。講演ではより詳細なお話をしています。次回以降,機会があればご参加ください。
相続に関しては,民法改正により制度が変わった点もいくつかあります。今後,当事務所の暮らしの法律講座でも民法改正のなかで特に市民生活に影響がある部分などを紹介できればと思います。
第1 「終活」なんて私には関係ない?
<美しい思い込み>
私には財産がないから大丈夫。
子どもたちは仲が良いから大丈夫。
配偶者や子どもには口頭で伝えているから大丈夫。
⇒そう思うからこそ備えがなく,争族がはじまるのです。
第2 「終活」は元気なうちに!
1 エンディング・ノートをつくるべき?
⇒エンディングノートは備忘録。法律問題は「遺言書」で
2 「法的な効力はない」ことに注意!
・エンディングノートは法的な「遺言」ではありません。
3 エンディング・ノートは何を書くの? ⇒何でもいい
・書式は自由。書店やインターネットでも入手可能。
第3 財産を希望に沿って分けるため「遺言書」をつくろう!
1 遺言書をつくっておいたほうがよい場面,例えば…
・自宅不動産は妻だけに相続させたい。
・家業である商売ののれんや店舗は長男に相続させたい。
…などなど
2 遺言書をつくるのは実は簡単!ただし,注意事項あり!?
・自分の遺言書は自分でつくれます。必ずしも,公証役場に行く必要はありません。
3 自筆証書遺言-もっとも簡便な遺言書のつくり方
・遺言者本人が,その全文,日付(吉日はダメ!)および氏名を自書し,これに押印(認め印でもよい)すること(民法968条1項)。
・財産目録は,コピー添付やパソコン打ちでもよいが,書面(両面印刷のときは両面それぞれ)のどこかに署名し,押印(遺言本文の印鑑と別でもよい。本文と目録の契印は不要)することが必要。
・書式は自由。チラシの裏紙でも構いません。
4 法務局における遺言書の保管制度
・自筆証書遺言を作成した本人が,法務局に遺言書の原本の保管を委託できる制度(2020年7月10日施行)。
5 遺言書作成の注意点
・共同遺言は禁止。同一の書面で2人以上の者が遺言をすることは禁止されている。
☞夫婦そろって1通の遺言書にすると無効になります。
…などなど
6 公正証書遺言-公証人につくってもらう遺言書
・証人が2人以上必要
・費用がかかる
7 遺言を取り消したり作り直したりできるの?
・簡単に取り消しできます。例えば…
8 弁護士に遺言書の作成を依頼したらどうなるの?
・ご本人の希望を聴き取りながら遺言の文案を作成。
・公正証書遺言にする場合,公証人とも内容を調整し,公
証役場に行く日程調整をする。
・公正証書遺言の証人(2名必要)になる。
・ご本人の希望があれば,遺言執行者になる。
第4 遺産分割の基本を知っておこう!
省略