AIの判断にしたがえますか?
弁護士ドットコム・ニュースに次のような記事がありました。
「ChatGPTは日本の司法試験に合格できるか 弁護士ドットコムが実験」(2023年2月13日 https://www.bengo4.com/c_18/n_15648/)
米国のベンチャー企業OpenAIが開発した対話型人工知能「ChatGPT」というものに司法試験の解答をさせてみる実験だそうです。
米国の実験では、7科目全体の平均では人間の勝ち、ただし、2科目では平均以上の結果だったそうです。
日本の司法試験ではどうなのか、弁護士ドットコムが実験を行ったそうです。詳細は上記の記事をご覧いただければと思いますが、結果としては、日本では公開されている裁判例データが少なくデータ不足で回答不能となったようです(なお、弁護士ドットコムの記事ではより高機能な有償版での検証結果も掲載されています。少し違った結果となっているので詳しくは記事をご覧ください。)
日本の弁護士がAIに取って代わられるということは、しばらくなさそうです。
仮に将来的にAIが法的紛争について一定の結論を出してくれる時代になったとして、私たちはその結論をすべて受け入れるしかないのでしょうか。とてもそうはならないでしょう。AIが出した結論に納得がいかなければ、それを変えるために主張立証をするのが弁護士ですし、皆さんもAIに決められるより、しっかりと争って納得できる結論を得たいと思われるのではないでしょうか。
AIが隆盛しても、弁護士の必要性はなくならないだろうと個人的には思っています。
ちなみに、2015年に英オックスフォード大学の博士らが公表した研究結果では、10~20年度に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIやロボット等による代替可能性が高いとの推計結果が得られたそうです。
(参考:野村総合研究所のニュースリリース https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf)
この研究結果では、AI等による代替可能性が高い職業、低い職業も紹介されています。
今後、いろいろな分野でAIの進出が当たり前の社会になっていくのでしょうが、一方で、AIでは対応できない人間的なニーズも増えていくのだろうと思います。
昔まんがでみたような話が実現されてきている現代、これからの社会の変化が多少の不安はありつつもとても楽しみです。
(弁護士 星野 圭)