星野圭 弁護士記事

2023年8月7日(月)

終活を待たずに 遺言書をつくりましょう

終活に年齢は関係ありません。何歳でも、何が起こるかわかりません。
皆さま、遺言書をつくりましょう。

財産がない場合でも、ご遺族への手紙のつもりの遺言書でよいと思います。

財産がある場合は、これはもう遺言書があるに越したことはありません。
自分の遺志にしたがって穏便に相続をしてもらいたい。
多くの方がそう望まれるのではないでしょうか。
そのために重要なツールが、「遺言書」です。

私には財産がないから。兄弟姉妹みんな仲がよいから。
そう思っていても骨肉の争いは起こってしまうものです。
例えば、お父さん(またはお母さん)は、私にはこう言っていた、おれにはこう言っていた、などと言い合う事態が実際にはよく見られます。
真実はやぶの中。裁判官を含む第三者には何が真実であるか、解明しようがありません。
遺産相続は、いったん争いがはじまると、感情のもつれはどんどん進んでしまいます。子ども時代までさかのぼって、あのときは・・・・と。

遺産をめぐる争いを予防するためにも、遺言書はとても有用です。
なんといっても先立つご本人(被相続人)の意思が明確になります。

争いの火種を大きくしないためにも、ぜひ「遺言書」をつくりましょう!
遺言書をつくるのは、実は簡単です。今回は、自分で書く遺言書である「自筆証書遺言」について紹介します。

【自筆証書遺言】

民法の該当条文は、次のとおりです。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

ポイントは、遺言者(遺言をしたい本人)が、➀遺言の内容を自分で記載し(代筆はダメ)、⓶遺言書の作成日付(年月日)を記載し(「吉日」はダメ)、⓷フルネームを記載し(屋号などはダメ)、⓸押印する(認印でもOK)、これだけです!

ただし、一点だけ、➀遺言の内容本文は、第三者が見てもその記載内容がわかるように意識して書かれないと、伝わらないこともあるかもしれないので注意されてください。

よくある勘違いとして、遺言は、公正証書遺言でなければならないと誤解されている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。上記のとおり、自筆でも有効です。大きな違いは、遺言者が亡くなった場合に、その遺言書を家庭裁判所で確認してもらう手続(検認手続と言います。)が必要かどうかという点ですが、遺言の効力には差がありません。

自筆証書遺言をつくった場合、それをどうしたらいいの?
このような疑問を持たれる方も少なくありません。
自筆証書遺言は、自分で保管していても、家族・親族に保管してもらっても構いません。もっとも、失くしてしまうという危険もあります。
そこで有用なのが、国の自筆証書遺言書保管制度。各地の法務局で、自筆証書遺言を預かってくれる制度です。
 【法務省の案内ホームページ】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

遺言書については、とりあえず自筆証書遺言を作成しておき、後から公正証書遺言をあらためて作成することや、過去の遺言書の内容を変更するために、あらためて遺言書を作成しなおすことなども可能です。

今の時点の意思でもよいので、ぜひ一度、自筆証書遺言をつくられてみてください。

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星野圭 弁護士

弁護士登録:2008年

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