星野圭 弁護士記事

2024年5月21日(火)

知っておきたい? 刑事事件の一般的な流れ

刑事事件のこと…

知っておきたい?いやいや、ほんとうなら知らなくてもよい情報でありたいですね。

わたくし事ですが、先日、とある刑事事件において、検察官による「勾留請求」が裁判官によって却下(その後、検察官からの準抗告も棄却。)されるという成果を得ました。

刑事事件で逮捕、勾留されることになると、日常生活が完全に断たれることになります。刑事弁護人としては、被疑者・被告人が一刻でも早く日常生活を取り戻すことができるように、環境調整をしながら身体拘束からの解放に向けた活動をすることになります。この方針は、無罪を争う場合はもちろん、たとえ被疑者・被告人が罪を犯したことを認めている場合でも、本人の反省を促し、生活基盤をつくって真に反省した生活をしてもらうために、有罪、無罪を問わず同じ方針で臨むことになります。

今回は、もしも自分や家族が刑事事件の当事者になってしまった場合のご参考に、一般的な刑事事件の流れをご紹介いたします。

【刑事事件の流れ】
⑴ 警察官による逮捕(当番弁護士)

・逮捕されてから最大72時間、身体を拘束される可能性があります。
・逮捕されてから勾留請求をされるまでの間、「当番弁護士」の出動要請をすることができます。当番弁護士は、逮捕期間中に1回のみ、接見して助言できます。費用の心配はありません。
・勾留前にひきつづき弁護士の援助を受けたい場合、いわゆる私選弁護人の依頼をするか、日本弁護士連合会の「被疑者弁護援助制度」(利用条件があります)の利用を検討します。
・弁護人としては、身体拘束が「逮捕」のみで終わるように、検察官に対し勾留を求めないように意見する申立や、裁判官に対し検察官からの勾留請求を却下するように求める活動をします。

⑵ 検察官による勾留請求(被疑者国選弁護人)

・逮捕のみで釈放されない場合、検察官が、裁判官に対し「勾留請求」をします。
・裁判官と面談して、主に逃亡のおそれがあるか、証拠隠滅のおそれがあるかが審査されます。
・裁判官の面談では、勾留決定が出される場合には「被疑者国選」弁護人(勾留された方が対象)を選任してほしいと求めることができます。
・勾留が認められた場合、原則10日間+延長10日間の最大20日間、警察署内で身体拘束がつづけられます。

⑶ 裁判所による勾留決定

・勾留されている間、事件の捜査が行われます。
・一般的には、この間に、被疑者本人の供述調書が複数つくられたり、被疑者を犯行現場に連れて行って写真撮影する現場引き当たりなどが行われます。
・一方で、可能な場合には、この間に被害弁償を行うなどして、被疑者が起訴されないようにするための弁護活動を行います。
・勾留決定に対して不服がある場合には、勾留決定に対する準抗告、勾留取消請求ができます。また、勾留理由を確認する勾留理由開示請求もあります。
・最初の10日間が満了するまでに、検察官に対し勾留延長を求めないようにという申立をしたり、裁判所に対し勾留延長を認めないよう求める申立てを行うこともあります。

⑷ 勾留延長

・残念ながら、多くの事件において、検察官は勾留延長を求め、裁判所は延長を認める決定を出しています。
・勾留延長決定に対しても、不服申立である準抗告ができますし、勾留取消請求もできます。

⑸ 検察官による起訴

・捜査が終了したところで、検察官が被疑者を起訴するか否かを決定します。起訴というのは、正式に刑事裁判にかけるということです。起訴するか否かの決定権限は、検察官のみにあり、警察官は起訴・不起訴を決められません。
・自白事件で、比較的軽微な犯罪については、被疑者本人の同意があることを前提に、簡易な手続きで罰金刑となる「略式起訴」がなされることもあります。
・検察官による起訴がなされず不起訴となった場合、勾留されていた被疑者は釈放されます。
・検察官による起訴がなされた場合、勾留中の被疑者(起訴後は呼び方が「被告人」に変わります。)は、裁判への出頭確保のため引き続き勾留されることになります。

⑹ 保釈請求

・起訴後の勾留に対しては、「保釈」請求ができるようになります。
・保釈が認められた場合、被告人は釈放されます。
・保釈を求める際の重要なポイントは、身元引受人の確保と保釈保証金の用意です。
・保釈保証金は、資産がまったくない被告人のときでも、最低でも150~200万円を求められることが多いです。資産がある人は当然もっと高くなります。
・保釈保証金は、被告人がきちんと裁判に出頭しつづければ、判決の言い渡し終了後に返還されることになります。被告人が逃亡するなどしてしまった場合、保釈保証金は没取され戻りません。

⑺ 第1回公判期日

・刑事裁判が始まる前までの時点で、弁護人においても被告人に有利な証拠を集めます。
その上で、ここでは、被告人が罪を認めた自白事件で、最初の期日にほとんどの手続を行ってしまう場合の主な流れを紹介します。
➀ 裁判官による人定質問(本人確認)
② 検察官による起訴状朗読
③ 裁判官による黙秘権等の告知
④ 罪状認否(起訴された事実に間違いがあるか否かの質問と回答)
⑤ 検察官による冒頭陳述
⑥ 検察官による証拠調べ請求
⑦ 弁護人による証拠に対する意見(自白事件の場合は「同意」することが多い)
⑧ 検察官による同意証拠の説明
⑨ 弁護人による証拠調べ請求
⑩ 検察官による証拠に対する意見
⑪ 弁護人による同意証拠の説明
⑫ 証人尋問(情状証人)
⑬ 被告人質問
⑭ 検察官による論告、求刑
⑮ 弁護人による弁論
⑯ 被告人から最後の一言

⑻ 第2回公判期日

・判決宣告 執行猶予がついた場合は、裁判後直ちに釈放されます。

おおむね以上のような流れになります。刑事事件の裁判とは無縁の生活を送るのが一番ですが、何かのご参考になればと思います。

法律相談Q&A

法律相談Q&A

法律相談
予約はこちらに

お気軽にお問合せください

092-721-1211

※お掛け間違いのないようにお願いします。

平日9:30~17:00
土曜9:30~12:00


平日、土曜日午前中
毎日実施中

初回法律相談予約専用Web仮予約はこちら

カテゴリー

弁護士紹介星野 圭

星野圭 弁護士

弁護士登録:2008年

まずはご相談ください。熱意と誠意をもって取り組ませていただきます。