河西龍介 弁護士記事

2023年9月22日(金)

まずはコレだけ! 相続の基本

第1 はじめに

相続は、皆様に身近な事柄ですので、詳しくご存じの人も多いかもしれません。一方で、いつかは自分も当事者になるとは思いながら、いまいち理解できていない人もいらっしゃるかもしれません。
今回は、相続について全く知らない人や、知っているけど詳しくは知らないという人に向けて、相続の基本的な部分についてお話したいと思います。

第2 相続とは

相続とは、死亡した人(被相続人)の財産を、配偶者・子など民法に定められた身分関係にある人(相続人)が引き継ぐことをいいます。財産は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金等)も含みます。

第3 相続分とは

相続で各相続人が財産を引き継ぐ割合を、相続分といいます。相続分は、以下のように、まず、被相続人の遺言書があるか否かで変わります。

1 遺言書がある場合

被相続人の遺言書がある場合、被相続人の遺言に記載されている内容によって相続分は決まります。
例えば、「家と土地は妻が、預金は長男と長女で2分の1づつ相続する」という内容の遺言があった場合は、この内容で遺産を分割することになります。

2 遺言書がない場合
⑴ 法定相続分

遺言書がない場合は、民法で定められた割合(法定相続分)によって、相続分が決まります。
例えば、「子と配偶者が相続人の場合は、子と配偶者で2分の1づつ、配偶者と直系尊属(父母、祖父母等)が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1」等といったことが民法で定められています。
もっとも、次にお話するように、各相続人が話し合って、法定相続分と異なる相続分を協議することは可能です。

⑵ 遺産分割協議

遺言がない場合では、法定相続分以外に、各相続人が相続分について協議(遺産分割協議)を行い各相続分を定めることもできます。

⑶ まとまらない場合

遺産分割協議がまとまらない場合等は、遺産の分割を家庭裁判所に請求することができます。
この場合、まず、裁判所が間に入って当事者の意見を調整する「調停」が行われます。調停でもまとまらなければ、裁判官が決定をする「審判」が行われます。

第4 相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の財産を引き継ぐことを相続人が一切拒絶することをいいます。
既にお話したように、被相続人の財産には、プラスの財産もあればマイナスの財産もあります。マイナスの財産がプラスの財産より多い場合、相続人は相続によって借金を負うことになってしまいます。この様な事態を避けるため、民法では相続放棄という制度を設けています。

第5 最後に

相続では、被相続人の遺言書がある場合は、被相続人の意思が尊重されます。そのため、遺言書を作成しておけば、相続人間での争いを未然に防ぐことができます。
また、遺言書がない場合で法定相続分によらない相続をする場合には、遺産分割協議を行う必要があります。そして、遺産分割協議を行う際には、相続人間の調整が重要になります。相続によって借金を背負ってしまう場合には相続放棄をすることができます。
この様に、ご自身が相続人になった時や被相続人になってしまった時に備えるにあたって、弁護士がお手伝いできることは色々あります。
相続についてご心配やお悩みがある方は、是非一度弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

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弁護士紹介河西 龍介

河西龍介 弁護士

弁護士登録:2019年

大型書店や不動産鑑定評価・補償コンサルタント会社での勤務を経て、弁護士になりました。自分の経験も活かしながら、皆様の日々の生活が少しでも楽しく豊かなものになるような活動を心がけています。