河西龍介 弁護士記事

2024年10月28日(月)

旧優生保護法違憲訴訟―国と勝訴的和解!!

1 はじめに

 これまで度々ご報告した旧優生保護法違憲訴訟ですが、令和6年10月28日、福岡第1次訴訟及び第2次訴訟の両訴訟とも和解をすることになりましたので、ご報告いたします。
 なお、これまでご報告した内容については令和6年6月9日記事令和6年7月8日記事をご覧ください。

2 和解に至るまでの概要

 令和元年12月24日、共に聴覚障害のある夫婦が、福岡地方裁判所に旧優生保護法を違憲として提訴しました(第1次訴訟)。提訴後の令和3年5月に、原告夫婦のうち夫がお亡くなりになりましたが、原告妻と夫のご遺族が訴訟を承継しています。
 令和5年6月2日、第1次訴訟と同じく共に聴覚障害のある夫婦が、福岡地方裁判所に提訴しました(第2次訴訟)。
 令和6年5月30日、福岡地方裁判所で、第1次訴訟について、旧優生保護法を違憲であるとし原告の請求を認める判決が言い渡されました。その後、国(被告)が控訴したため、第1次訴訟は控訴審に係属することになりました。
 令和6年7月3日、最高裁判所大法廷で、先行する5訴訟の原告の請求を認容する判決が言い渡されました。最高裁判決では、旧優生保護法は憲法違反であること、国(被告)が主張する除斥期間の適用は容認できないことなどを明言しました。
 令和6年9月13日、全国各地で続いている旧優生保護法違憲訴訟の原告やその弁護団(福岡の第1次訴訟と第2次訴訟を含む)が、国が示した慰謝料の支払いで和解することなどを盛り込んだ合意書に調印しました。
 令和6年10月28日、上記の和解合意に基づいて、福岡第1次訴訟及び第2次訴訟の和解期日が開かれます。

3 補償法の成立

 令和6年10月8日、国会において、旧優生保護法のもとで障害等を理由に不妊手術等や人工妊娠中絶を強制された人に対する補償を定めた「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」(以下、「補償法」といいます。)が成立しました。補償法は、令和7年1月に施行されます。

4 最後に

 全国各地の旧優生保護法違憲訴訟での和解の成立や補償法の成立は、これまでの闘いの大きな区切りであると思います。
 しかし、これまで旧優生保護法違憲訴訟の原告として訴訟を提起した人たちは、旧優生保護法の被害者の極一部に過ぎません。旧優生保護法問題の本質は、被害者が声をあげることさえできない状況が作り出されていることにあるのではないでしょうか。補償法の成立をきっかけに、より多くの旧優生保護法の被害者が救済されることを強く望んでいますし、私自身も、被害者救済に向けた活動を今後も継続していきたいと思っています。

以上

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弁護士紹介河西 龍介

河西龍介 弁護士

弁護士登録:2019年

大型書店や不動産鑑定評価・補償コンサルタント会社での勤務を経て、弁護士になりました。自分の経験も活かしながら、皆様の日々の生活が少しでも楽しく豊かなものになるような活動を心がけています。