自民党総裁選と立憲民主党代表選に思う
自民党総裁選のメディアジャックにうんざり
今,この記事を書いているのは,2024年9月25日である。
このところ,大手メディアやインターネットのニュース,とりわけテレビでは,自民党総裁選の話ばかりが連日報道されて,かなり食傷気味ぎみである。
おそらくそのような思いで毎日うんざりしている人も多いのではないかと思う。
こんなにうんざりするのに,テレビや新聞が毎日報じるのは,自民党総裁選は,自民党という一政党の党首を選ぶ選挙にすぎないとはいえ,議院内閣制を採用している日本においては,国会(とりわけ衆議院)で多数を占める政党が政権与党となり,結局において,その党首が首相になる,
すなわち,自民党が過半数を占めている現在の日本では,自民党総裁選=次の首相を決める選挙であるということを大義名分として,メディアジャック(特定の事象がメディアを占拠する状態)ともいえる異様な報道が続いているのである。
退陣に追い込まれた岸田首相と自民党総裁選候補者の情けないていたらく
そもそも今回の自民党総裁選は,2021年10月に首相(自民党総裁)に就任した岸田首相が,安倍元首相の銃撃事件で大きくクローズアップされた自民党と統一協会のズブズブの癒着関係の解明及び解消に本腰を入れて取り組まず,防衛力の増強や防衛費の大幅増加(防衛増税),脱原発から原発回帰への原発政策の大転換など国民生活や世論に背く時代に逆行する愚策を次々と進め,挙げ句の果てには,「しんぶん赤旗日曜版」のスクープ(今年の日本ジャーナリスト会議大賞)で明るみに出た自民党裏金問題(自民党の安倍派など複数の派閥で,政治資金として集めた金を自民党の国会議員が懐に入れ自由に使い放題にしていた大スキャンダル)によって追い詰められ,自民党裏金問題に対する徹底調査や抜本的な改革を全くできないまま退陣に追い込まれたことによるものである。
それにもかかわらず,自民党総裁選に立候補した9人の候補者は,裏金問題の再調査や裏金をもらっていた議員の処分の見直しについては全員が否定し,本気で「政治とカネ」の問題に取り組む姿勢は微塵もない。
裏金問題だけでなく,統一協会との癒着についても,被害対策弁護団からの公開質問状に対し,候補者全員が回答せず,統一協会と自民党との癒着に関する再調査を候補者全員が明確に否定する情けないていたらくである。
それどころか,自民党総裁選候補者の推薦人(各候補者20人の計180人)となった自民党国会議員のうち,半数近い合計85人が教団との接点があったと報じられている有り様であり,誰が総裁になったとしても,統一協会との癒着を断ち切ることは実行できそうにない(ちなみに,推薦人には,裏金をもらっていた議員も21人いる)。
さらに,候補者らは,解雇規制の見直しや憲法改正などを声高に訴えており,私からすると,誰が新総裁になったとしても,全く期待できない。
立憲民主党代表選はどうだったのか
時を同じくして,野党第一党の立憲民主党代表選も行われた。
自民党総裁選のメディアジャックのあおりを食い,大手メディアの注目度はそれほど高くなかったし,4人の候補者が訴える政策も,党是である「原発ゼロ」を明確に掲げたのは吉田晴美氏だけ,自民党政権を終わらせるための野党共闘についても強く前向きなのは吉田氏くらいであり,他の候補者は,かなり腰が引けている印象を受けた。
しかして,2024年9月23日,立憲民主党の新代表には,元首相の野田佳彦氏が選出された。
野田氏は,立憲民主党の中では,中道保守路線を掲げ,党内のリベラルな勢力や共産党などとは一線を画し,保守層の取り込みを図りたい考えだ。
そして,総選挙へ
野田氏は,立憲民主党代表就任会見で,次の衆議院選挙において,「自公を過半数割れに追い込む」と語った。
しかし,自民党政権を終わらせるためには,立憲民主党単独で闘えるはずはなく,小選挙区制においては,共産党など他の野党との共闘が不可欠である。
2024年9月27日投開票の自民党総裁選で誰が新総裁(新首相)になろうと,新首相は,早期に衆議院を解散し,早ければ10月下旬にも総選挙が実施されるといわれている。
裏金問題にメスを入れられず,統一協会との癒着も断ち切れない自民党政権をこれ以上続けさせるのか,有権者の覚悟が問われている。