当事者の声を反映した法律を~優生保護法被害回復法案~
4月11日、優生保護法の被害者の方に対し、一律320万円を支給するという法案が衆議院を通過しました。
続いて参議院での審理に移ることになっています。
これまで、優生保護法に基づく障害を理由とする不妊手術について、「手術の時点では適法だったから」と被害者の方の声を聴こうとしなかった国が、優生保護法被害者の方の救済に踏み出したということ自体は評価できることです。
2018年1月に宮城県在住の方が国家賠償請求訴訟を提起されたことをきっかけに、メディアの報道の後押しも受け、国会内でも立法をめざす動きが出て、一年余りで法案が国会で審議されることになりました。
ただ、法案の内容には、被害者当事者の声が十分反映されているとはいえません。
・支給される金額が他の国の例と比べて非常に低額であること。
・国が被害者に謝罪をするということが明確にされていないこと
・国から積極的に通知するなどして被害者に呼びかけることが定められていないこと(被害者は、知的障害があったり精神障害があったりする人が多く、自ら情報にアクセスして申請することがむずかじいことが多いでしょう)
・当事者のみが対象となっており、共に子どもを作ることができなかった配偶者や、ご遺族の方には給付されない(優生保護法の被害者の方はもう高齢になっており、亡くなられている方もたくさんいます)
衆議院の審理の際には、被害者や障害者団体からの意見が聞かれないまま、法案が短時間審理されただけです。
そこで、参議院では当事者の声をきちんと聴いた審理がされるべきです。
また、2019年5月28日には、仙台地方裁判所で国家賠償訴訟の判決がなされる予定です。
こちらで国の給付金よりも多い金額の支払を命じる判決が出れば、法案の給付金額を再検討することも必要になってくると思います。
優生保護法被害弁護団のHPはこちら↓
http://yuseibengo.wpblog.jp/