賃金と社会保障1636号に記事が掲載されました
弁護士の國府です。
私の書いた記事が賃金と社会保障1636号に掲載されました。
掲載されたのは、私が介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネットの活動として行った、重度の身体障害者の方に24時間の介護保障を獲得していただくための活動の報告です。
支援させていただいたのは福岡県A市在住の脳性麻痺のBさん(当時53歳)。重度のアテトーゼ型脳性麻痺で、二次障害が進行していることもあり、携帯電話の操作をはじめ、日常生活に必要な動作には全て介助が必要でした。
構音障害もあるので、初めてお会いした時には、私は3~4割程度しか彼の言葉を聞き取ることができませんでした。(1年ほど付き合いを続けていくうちに、対面よりも聞き取りにくい電話口での会話でも8~9割聞き取れるようになりました。慣れですね。)
朝と夕方の時間にヘルパーがいない時間がそれぞれ1~2時間あったので、その時間にもヘルパーに来てもらえるようにしたいということで障害福祉サービスの申請のお手伝いをすることになりました。
私はこの時弁護士1年目で、脳性麻痺の人とまともに話したのは初めて。青い芝の会って何?施設入所ってどんなこと?重度の先天性障害を持ったひとと関わったのは初めてでしたので、彼の体験を聞かせてもらい、勉強させてもらう日々でした。
結果的には、彼の求めていたヘルパー不在の空白時間のない介護保障を実現することができたのですが、その結果を得たおよそ半年後、彼はヘルパーがいる時間帯に、突然天に召されてしまいました。
施設や実家を出て、一人で暮らし始めて10年目の節目の年でしたので、彼が主催した自立10周年の祝賀パーティを行うことにしていたのですが、祝賀パーティは偲ぶ会になってしまいました。
私が彼と最後に話したのは1週間ほど前。亡くなる前日にも、電話が入っていたのですが、もう夜だったので、明日事務所に行ってから電話をしようと思い、コールバックはしていませんでした。私が電話に出なかったので、他の弁護士に連絡が行ったようで、彼は受給者証が届いた、という連絡をしたかったようです。最後にコールバックしなかったことを今でも悔やんでいます。
障害者の問題に取り組む上で大切なことや、一瞬一瞬の大切さを教えてもらいました。
賃金と社会保障の記事では、申請書に記載した内容やA市との交渉の経緯を詳しく記載しています。
お読みいただけると幸いです。