離婚後の手続きの注意点
弁護士は、離婚の手続きの依頼を受けることがよくありますが、今回は、離婚後の手続きということについてお話をしたいと思います。
離婚には交渉で行う協議離婚、裁判所の手続きを使う、調停離婚、裁判離婚があります。これらについての詳細は、今回の記事では割愛しておきます。
注意すべきは、この後の手続きです。
離婚が成立するまでも、とっても精神的に疲れ果てるものですが、その後の、仕上げの手続きについても忘れないでください。
1 離婚届の提出
まずは、離婚届の提出です。
協議離婚(話し合いでの離婚)では、一般的な離婚というもののイメージ通りですので、お互いに話し合って、離婚届にサインして、役所に提出するということを忘れることはないし、期限も特に決まっているわけではないので、問題は生じにくいと思います。
これに対し、調停離婚や裁判離婚の場合には、離婚届を提出期間が決まっているのです。
調停や、裁判上で和解して離婚をした場合には、その和解をした日から10日間です。
裁判で、離婚する、という判決が出た場合には、判決が確定した日(家庭裁判所の第一審の場合は、上訴期間の14日が経過した日)から10日間です。
調停成立の日が金曜日で、調停調書(調停の内容を裁判所が記載したもので、離婚届は調停調書を添付して提出します。)ができあがるのが翌週月曜日になるような場合、調停成立の日から10日間のカウントダウンが始まるので、平日に簡単にお休みが取れない方のような場合は、時間がない、ということになってしまいます。
また、離婚届は夫婦の本籍地、住所地、所在地で提出することができますが、本籍地が今住んでいる(又は一時的に滞在している)場所とは別の市町村である場合、戸籍謄本を添付しなければなりません。その場合、本籍地が近隣の市町村であれば、すぐに取りに行くこともできますが、遠ければ、郵送で取り寄せる必要があり、それにも時間がかかります。
そのため、次回期日で離婚が成立しそうという場合、戸籍謄本の取り寄せが必要になる方については、事前に、取り寄せておいてくださいねとお願いしています。
2 子の氏の変更申立て
離婚届の提出が終われば、それで終わりかというと、子どもさんの氏の変更申立てという問題が残っています。
というのも、離婚が成立し、未成年のお子さんの親権者を片方に定めても、それだけではお子さんの戸籍は変わらないのです。
私は、弁護士になるまでは、このことを知りませんでした。
例えば、従前の戸籍では、父親を筆頭者とする戸籍に母と子が入っていたとします(いろんなパターンの家庭があるかと思いますが、仮にこう設定させてください。)。離婚が成立し、母親が親権者となり、母親は、もとの実家の戸籍に戻るか、自分を筆頭者とする新戸籍をつくります(離婚届に書く欄があります。)
これだけでは、子は、父親の戸籍に入ったままなのです。
子を自分と同じ戸籍に入れるためには、家庭裁判所に、子の氏の変更申立てをしないといけません。これは、母親が婚姻していた時の姓を引き続き使う場合も同じです。
子の氏の変更申立ての申立書の書式は、裁判所のHPにありますし、裁判所でももらうことができます。
子の住所地を管轄する家庭裁判所に、子の氏の変更の申立てをし、許可するという審判が出れば、子の本籍地、住所地または所在地の役所に入籍届を提出する、という流れになります。
離婚には結婚よりもパワーが必要になります。精神的にも疲れます。ですが、最終的な手続きまで忘れずに迅速に行って、気持ちよく新たな出発をしてくださいね。