國府朋江 弁護士記事

2022年11月11日(金)

氏名変更のハードル

弁護士の國府です。

先日、台湾出身の方と話す機会がありました。

いろんな話を聞いたのですが、その中でちょっと面白かったのは、一生の中で3回、氏名を変更することができるので、スシローが名前の中にネタと同じ漢字が含まれている人と同行者には、そのネタを無料サービスするというイベントをやった時には、「鮭」という文字を名前に入れるために改名した人がたくさんいたんだとか。かなりびっくりですよね。

台湾では、占いを重視するという慣行があり、縁起の悪い名前から変更したりもするそうです。

結婚しても夫婦別姓は当たり前、子どもはどちらかの苗字を選ぶらしいです。私は結婚で戸籍上の苗字を変え、仕事上では旧姓を使用しているので、仕事上、面倒なことが多々ありますが、これはまた別の機会に。

 

さて、日本の氏名の変更事情はどうでしょうか。

日本の氏名の変更は、「氏」(苗字)の変更と「名」の変更で、手続きが分かれています。

 

氏名の変更については、戸籍法に規定があります。

第百七条 やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

② 外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

③ 前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

④ 第一項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。

第百七条の二 正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

 

氏の変更は、107条で、名の変更は107条の2ですね。「家庭裁判所の許可を得て」と書かれている場合には、家庭裁判所に変更のための審判を申し立てないといけません。

 

氏の変更の中で、107条1項に規定する「やむを得ない事由」とは何でしょうか。

これは、例えば、

・読み方が難しい苗字、奇妙な苗字、他人との区別がつかないなど、その氏の継続を強制することが社会観念上甚だしく不当であると認められる場合

・通称として長年使用してきており、戸籍上の氏の変更を認めないと社会生活上著しい支障を来すと認められる場合

などと言われています。

 

一方、名の変更の要件には107条の2に規定されているように、「正当な事由」が要求されています。

これは、「やむを得ない事由」よりも緩やかな要件ですが、同じように、読み方が難しい名前、奇妙な名前、他人との区別がつかないなど、氏の変更の時と同様の理由が考えられます。

いわゆる、キラキラネームを変更したい、というのは奇妙な名前を変更したい、ということになりますね。

 

台湾では、家庭裁判所の許可など不要で、役所に届け出ることによって氏名が変更できるようで、スシローのキャンペーンの際に改名する人がたくさん出たようです。

 

みなさんは簡単な手続きで3回まで名前を変えられるなら、名前を変えてみたいですか?

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弁護士紹介國府 朋江

國府朋江 弁護士

弁護士登録:2012年

京都出身で、福岡には全く地縁はありませんが、福岡の魅力に惹かれてやってきました。
自分は弁護士に関わり合いになることはない・・・そう思われる方が大半だと思います。
しかし、労働、離婚、相続、交通事故、近隣問題といった様々な分野で、自分が望むと望まざるとにかかわらず、紛争の当事者となってしまうことはたくさんあります。
争いごとに巻き込まれると、それだけでとても精神的にも肉体的にも大きな負担がかかることになります。
そのため、私は、ご依頼者の気持ちに寄り添ってお話を聞くことに力を入れています。また、どのようにすれば最もご本人にとっての利益になるのか、法的側面から検討するとともに、ご本人の負担を軽減し、次のステップへと進んでいただけるようにしたいという思いから、ご提案をさせていただいています。