梶原恒夫 弁護士記事

2024年8月21日(水)

東田坂上

去る7月26日から29日までの4日間、愛知県豊橋市において、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が主催する全国私学夏季研究集会(全私研)という企画に参加してきました。私は昨年に続き2回目の参加でした。いったいどのような集会なのかというと「1970年の第1回全私研から54回目を迎える全私研は、全体集会、組織・運動、教科関係等の分科会における約 250 本に及ぶレポート発表や、多彩な文化・交流行事をとおして、全国の私学から参加する教職員、父母、生徒の『学びと交流、そしてつながりづくりの場』として開催されてきました」(集会の実施要項から抜粋)という集会です。

集会の分科会には、「国民のための私学づくりと職場・学校の創造」(第1領域)、「国民のための私学づくりと教育内容の創造」(第2領域)及び「国民のための私学づくりと生徒の成長発達保障」(第3領域)という3つの領域が設けられ、このうち第1領域のなかには、「要求づくりと私学春闘」、「争議・権利問題」、「ジェンダー平等をめざす活動と女性教職員の役割」、「若手のための仲間づくりと教育実践」、「職場闘争・組織の強化と拡大」、「教育・学校づくりと組合運動」など11の分科会が設けられていました。また第2領域においては、国語・外国語・社会科・数学・理科・体育など各教科の教育について12の分科会が設けられており、中には「平和・人権と国際連帯の教育」という分科会もありました。更に第3領域では、「生徒自主活動の支援・創造」、「不登校・特別支援教育」など4分科会がありました。これら多くの分科会のうち、私は顧問弁護団の一人として「争議・権利問題」の分科会に他の弁護士の方々数名と共に参加して、全国各地で取り組んでおられる争議・権利問題の報告を聞き、討論において弁護士としての意見を述べるなどしてきました。

全国から何百人もの私立学校の先生たちが集まり、毎年このような集会で多角的な議論をされているということはとても素晴らしいことだと思います。私もこの集会に参加して、教職員の方々の労働者としての権利が十分に守られ尊重されることが、豊かな教育実践につながるのだということを改めて強く感じました。

さて、この集会では、250本にも及ぶ報告書をひとつの冊子にまとめた結構分厚い報告集が配布されました。その表紙には、地元の高校の美術部に所属する生徒が作成したスケッチ画が使われていました。それは「東田坂上」と書かれた電停と路面電車の車両及びその周囲の情景が描かれているだけの素朴な絵でしたが、私はこの東田坂上という駅名に何故か興味を惹かれました。そこで集会が引けた29日、帰りの飛行機の便までかなり時間もあったので、早速、豊橋駅前から出ている市電に乗り込み「東田坂上」なる停車場を目指しました。なにせ何の下調べもせずに飛び乗ったので、この電車で間違いないだろうかと少し不安になっていると、「次は、アズマダサカウエ」というアナウンステープが流れてきました(ちなみに、私は「ヒガシダサカウエ」と読むものと思い込んでいましたが)。東田坂上で下車したところ、「坂上」とあるだけに、この先少し下り坂になっていました。とても暑い日で、汗も噴き出てきましたが、はじめての見知らぬ土地をひとり歩く嬉しさが勝り、路面電車の線路沿いに数キロ先まで歩くのも苦になりませんでした。

今後、豊橋市を訪れる機会はほとんどないでしょうし、ましてや東田坂上という電停に降り立つことも恐らくないでしょうが、先の集会への参加の思い出と共に何故か心に残る駅名となりました。

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弁護士紹介梶原 恒夫

梶原恒夫 弁護士

弁護士登録:1989年

主要な取組分野・フィールドは,「労働」をキーワードとする各種事件です。また,業務に関連して関心のある領域は,法哲学,社会思想,社会哲学です。常に勤労市民と一緒に活動していける弁護士でありたいと願っています。個別事件を普遍的な問題につなげながら。