HPVワクチン薬害訴訟について積極勧奨再開という暴挙
HPVワクチン薬害訴訟九州弁護団 弁護士:中山篤志
子宮頸がんを予防できるとして国が接種を推進したHPVワクチン(サーバリックス、ガーダシル)の接種により、重篤な副反応に苦しんでいる若い女性の被害者が原告となり、2016年7月に製薬企業2社と国を被告とした訴訟を福岡、大阪、名古屋、東京で起こしてから5年が経過しました。
サーバリックスは2010年11月から緊急促進事業による公費助成(積極勧奨)となり、ガーダシルも2011年8月に販売開始と同時に同じ扱いになりました。その後、2つのワクチンは2013年4月には定期接種の対象になりました。ところが、重篤な副反応被害の発生が報道されると僅か2カ月で積極勧奨は中止となりました。
しかし、国はワクチン推進派の声に押されて、昨年11月に、審議会で積極勧奨を再開することを決定し、今年度から再開するという挙に出たのです。
審議会では、危険性に関する海外などの論文は資料として検討もされず、また、現在裁判を闘っている原告たちの被害実態をスルーして、有効性・安全性に問題はないとしました。
また、ワクチンの副反応が起きた場合の協力医療機関を国が指定していることをもって、「患者に寄り添った」医療体制が確立しているとも言明しました。しかし、協力医療機関では、学校や家庭でのトラブルがないかを聞かれるだけで、具体的な治療は行われません。国自身が原告らの副反応を心因性と決めつけていることの帰結だと思われます。やむなく患者は、治療を実践している数少ない病院で治療を行っているのです。
国の積極的勧奨の再開は、被害者の治療と救済を置き去りにしたまま、新たな被害に繋がる暴挙と言うべきです。
原告団弁護団は、ワクチン対象者が安易なワクチン接種をしないように原告らの被害を社会に伝えるなど正しい情報を提供していく好機と捉えるべきと考えています。
原告や支援者はHPVワクチンの副反応を訴えるポスターを作成して、市民の目に触れるようにWEBで発信したり、掲示がされるように頑張っています。
どうか引き続きHPVワクチン問題に関心を持っていただきたいと思います。
詳しくは弁護団のホームページをご覧ください。