医療過誤事件大動脈解離見落とし医療過誤事件
弁護士:深堀 寿美
福岡第一法律事務所は、事務所の複数の弁護士が医療問題研究会に所属しており、医療過誤事件についても積極的に取り組んでいます。
最近代理人として活動した事件に、大動脈解離を見落とした医療過誤に関する事件があります。時間外の外来に激しい胸背部痛を訴えて来院した患者については、生命予後の不良な心筋梗塞、肺塞栓症、大動脈解離等を疑い、速やかに検査を行い、これらの除外診断をし適切な治療を行うべきであること、医学文献にも記載されているところです。ところが、ある病院は、このうち大動脈解離を除外診断することなく、漫然と経過観察をしてしまったために、受診日の夜中、日が変わった頃に、大動脈解離による心不全を起こさせて、患者が死亡してしまいました。この注意義務違反を争った事件でした。最近では、「医療水準」を確定するのに役立つ「診療ガイドライン」が各専門学会の研究成果として発表されており、本件も、「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」(日本循環器学会等の合同研究班報告)を活用し、大動脈解離見落としが病院の過失によることを明らかにすることができた事件です。