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活動紹介その他の取組み:司法修習生の給費制問題

2014年10月8日(水)

司法修習生の給費制廃止違憲訴訟

弁護士:清田 美喜

司法修習とは、司法試験に合格した後、弁護士、裁判官、検察官になるために義務付けられている一年間の研修のことです。その一年の間、司法修習生は、弁護士事務所や裁判所での裁判文書の作成や、検察庁での取り調べといった法律実務に従事しています。ときには、司法修習生が作った文書の内容がそのまま裁判で用いられることもあります。司法修習生は一年の間に、実務で必要とされる技術はもちろん、法律家としての心構えや、自分たちが負うことになる責任の大きさを、身をもって学ぶことになります。司法修習は、市民の権利を守るという法律家の使命を全うできるようになるために不可欠の、とても重要な制度です。

戦後に司法修習が始まった時から、平成23年までの60年余りの間、司法修習の期間には国から給与が支払われていました。しかし、今では給与は廃止され、これに替えて、修習資金が国から「貸与」されています。つまり、司法修習生は、望むと望まざるとにかかわらず、借金をして司法修習をすることを余儀なくされ、経済的な不安を抱えたまま法律家になることを強いられているのです。

このことは、司法修習の意義から考えて、許されるべきではありません。日本国憲法は、国民に裁判を受ける権利や、資格をもった刑事弁護人による弁護を受ける権利を保障しています。国がこの権利を実現させるには、充実した司法修習を受け、権利を守るにふさわしい素養をもった法律家を育てることが不可欠です。給与を廃止し、借金を強制することは、司法修習生が安心して研修に専念することを妨げるものでしかなく、質の良い法律家を育てるという国の責務と真っ向から対立するものです。

このことを、司法修習生に給与を支払わないことが憲法違反であるという形で訴えるのが、司法修習生の給費制廃止違憲訴訟です。
この訴訟は、給与が廃止された第一世代が2013年の8月に全国4地裁(東京、名古屋、広島、福岡)で、次いで第二世代が2014年の9月から10月にかけて、全国3地裁(東京、熊本、札幌)で提訴しています。

当事務所の弁護士も、原告として2名が、また代理人として5名がこの訴訟に関わり、訴訟の中で、なぜ司法修習生はこれまで給与を支払われてきたかを国や裁判所に問うています。それは同時に、訴訟に関わる弁護士自身が、司法修習生に給与が支払われるべきといえるだけの活動を自分たちがしているかと問い直すことでもあります。

市民の権利を守るため、質の高い法律家が必要であると、皆様に思っていただけるよう、研鑽しつつこの活動に取り組んでまいります。

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