選挙に行こう!~2019年夏 参議院選挙~
弁護士:毛利 倫
皆さん,こんにちは。
この原稿を書いているのは2019年6月24日ですが,九州北部地方はまだ梅雨入りしておらず,これまでで最も遅い記録を更新したそうです。今年の梅雨時期は,おととし7月の九州北部豪雨や去年7月の西日本豪雨のような豪雨被害が発生しないことを祈るばかりです。
ところで,今年の夏は,3年に一度改選される参議院選挙が実施されます。当初取りざたされた衆議院の解散総選挙との衆参同日選挙の可能性は相当低くなりましたが,通常国会が終わる6月26日までは,まだ気が抜けない状況です。
参議院選挙だけが実施される場合,現時点で最も有力なのは,7月4日(木曜日)公示,7月21日(日曜日)投開票という日程です。
つまり,もう公示まであとわずか10日しかないのです。
この参院選挙,とてもとても大切な選挙です。
自民党の安倍首相は,2012年12月の総選挙で民主党から政権を奪うと,その後,2度の総選挙と2度の参院選挙の合計4度の国政選挙でいずれも圧勝し,公明党とともに与党で国会の多数を占め続けています。
安倍首相は,数に物を言わせて,この6年半,原発の再稼働や海外輸出を推進し,特定秘密保護法や安保法制,共謀罪など天下の悪法を次々と成立させ,沖縄辺野古の米軍基地建設を圧倒的な沖縄県民が反対する中で強行するなど,住民無視,国民無視,国会無視,憲法無視の独裁政治を強引に推し進めています。
また,安倍首相になって以降,防衛費は急増,日米の軍事一体化が強化され,唯一の被爆国でありながら核兵器禁止条約への参加拒絶など,戦後日本の平和主義に逆行する動きばかりが目立ちます。
最近では,年金問題が大きくクローズアップされています。「マクロ経済スライド」(そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて,年金の給付水準を自動的に調整する仕組み)の完全実施により,将来の年金給付額は大きく減る見通しです。ところが,安倍首相は,「マクロ経済スライド」を廃止して,高所得者の年金保険料を増やすことや,大企業・富裕層の増税などで年金給付の財源を確保する提案について,「全くばかげた政策。間違った政策だ」と国会で臆面もなく堂々と発言し,年金給付額を増加するために,大企業・富裕層の負担を増やす提案をばっさりと切り捨てました。安倍首相が守ろうとしているものは,大多数の市民のわずかな生活の安定ではなく,大企業・富裕層の利益であることを改めてはっきりと浮き彫りにさせました。
その安倍首相が,自民党総裁の任期を2021年9月まで延長させて執念を燃やすのは憲法改正です。改憲のためには,国会での3分の2が賛成する改憲発議と国民投票で過半数の賛成が必要です。2020年中には自衛隊を明記した新憲法を施行したいとの野望を持つ安倍首相にとって,この夏の参院選挙は,3分の2を改憲勢力で占めることが不可欠であり,かつ,首相任期中に改憲を実現するラストチャンスでもあります。
参院選挙,前々回(2013年7月)は1人区で自民が圧勝(29勝2敗)でしたが,野党4党(民進・共産・社民・生活)が全国32のすべての1人区で統一候補を擁立した前回(2016年7月)は自民の21勝11敗でした。
安倍首相の究極の野望である改憲を阻止するには,今回の参院選挙で自公や維新らの改憲勢力を3分の2未満に抑えること,そして,そのためには,野党が共闘態勢を構築できるかどうかが最大の鍵となります。
私たちの仲間である共産党の仁比聡平参議院議員(福岡県弁護士会所属の弁護士)をはじめ,安倍改憲に反対する野党候補を躍進させ,日本の平和憲法を守るため,この夏の参院選挙,必ず選挙に行きましょう!
そして,安倍強権政治を今度こそ終わらせましょう!