日本国憲法と集団的自衛権憲法を破壊しようとする安倍政権の危険性
弁護士:梶原 恒夫
軍事同盟が引き起こした2つの世界大戦
第一次世界大戦
サラエボ事件を契機に、連合国側(イギリス、フランス、ロシア、イタリア、日本、アメリカなど)と中央同盟国側(ドイツ、オーストリア=ハンガリー、オスマン帝国、ブルガリア)が戦争に突入。
第二次世界大戦
ドイツのポーランド侵攻を契機に、枢軸国側(ドイツ、日本、イタリアなど)と連合国側(アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、中国など)とが戦争に突入。
国民の命を脅かす閣議決定原案―「集団的自衛権」を明記
政府は、6月17日、自民公明両党の安全保障法整備に関する協議会で、解釈改憲に関する閣議決定原案を正式に提示しました。日本への武力攻撃がなくても、他国への武力攻撃の発生で日本が武力攻撃することを可能にする内容で、「集団的自衛権が根拠となる」と明記しました。
これは、従来の政府の自衛権行使に関する3要件(1954年政府見解)、すなわち、①急迫不正の侵害、すなわち日本に対して現実的な侵害があること、②それを排除するために他に手段がないということ、③必要最小限度それを防御するために必要な方法をとるということ、という要件に代えて、「国の存立が脅かされる」、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」という、いくらでも拡大解釈できる抽象的な規定で、集団的自衛権の名の下に武力の行使ができるようにするものです。これは歴代内閣が「憲法9条の下での集団的自衛権の行使は許されない」としてきた憲法解釈を180度ひっくり返すものです。
これにより地球上のどこでも「自衛の措置」として派兵できることになり、「自存自衛」を口実にアジア太平洋を戦渦に巻き込んだ戦前の論理そのものです。
閣議決定原案は、「国際社会の平和と安定への一層の貢献」と銘打って、自衛隊が「戦闘地域へは行かない」という憲法上の歯止めを取り払って、「戦闘現場」でなければ派兵して後方支援できるという内容となっています。実際には、戦闘地域と戦闘現場など区別できないにもかかわらずです。
このような重大な決定を密室協議でやってのけようとするのは、民主主義破壊・立憲主義破壊以外のなにものでもない、絶対許せない暴挙です。