生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求事件提訴生活保護基準の引下げにNO!生きる権利の尊重にYES!
生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求福岡訴訟弁護団 弁護士:星野 圭
2015年3月16日、福岡地方裁判所に原告103名が生活保護基準引下げ違憲処分取消等を求めて提訴しました。
福岡第一法律事務所からは弁護士星野圭が事務局長として、また弁護士國府朋江が弁護団として参加しています。多くのみなさまのご支援をお願いいたします。
生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求・福岡訴訟
2015年3月16日
福岡訴訟弁護団
■原告団:第1次提訴原告103名(内訳:北九州市58名、福岡市18名、遠賀郡8名、古賀市7名、福津市6名、飯塚市6名)
■弁護団(3月16日現在):弁護団長高木健康(北九州)、事務局長星野圭(福岡)
福 岡 地域:平田広志、國府朋江、小谷百合香
北九州地域:縄田浩孝、髙木佳世子、田篭亮博、尾崎健二郎、朝隈朱絵、柏﨑愛、柴田裕之 ※今後、拡大の予定
■本裁判に至る経緯と本裁判の意義
1 過去に例のないほど杜撰でかつ大規模な生活保護基準の改悪!
2013年1月18日、学識経験者による専門的かつ客観的な検証を行う社会保障審議会の生活保護基準部会は、今後の生活保護基準の引下げに対し慎重な配慮を要するべきであるという報告書を厚労省に対し提出しました。
ところが、厚労省は、2013年1月27日、「生活保護制度の見直しについて」と題する文書を発表し、社会保障審議会での議論を経ることなく、3年間で約670億円の保護費を削減すること(平均6.5%、最大10%の削減)及び期末一時扶助についても約70億円を削減することを明らかにしました。
その後、2013年5月16日、厚生労働大臣は、厚生労働省告示174号により生活保護基準の改定を実施し、生活保護費(生活扶助費)は、2013年8月1日と2014年4月1日に実際に減額されました。2015年4月1日にもさらなる減額が予定されています。この生活保護基準の引き下げは、生活保護受給者の実に96%の方が影響を受けるきわめて大規模な不利益変更でした。
2 今回の基準改悪は私たちの生きる権利を奪うものである!
憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明言して国民の生きる権利を保障し、同2項はその実効化を国の責務と定めています。この国民の生きる権利を実現する法律が生活保護法ですので、生活保護法の運用は、当然に憲法25条の理念に沿うものでなければなりません。
ところが、現実には、憲法上の権利保障とは逆行する政治が続いています。小泉政権下における老齢加算と母子加算の廃止に対しては、全国各地で違憲訴訟が提起されました(その後、母子加算は復活)。安倍政権が実施した今回の削減は、加算廃止ではなく生活保護基準そのものの大幅な切り下げであり、生活保護受給者の生活を直接的に脅かすものです。また、生活保護基準は、わが国における社会保障の最低ラインを定めるものですので、生活保護基準が引下げられれば、すべての国民に対する社会保障の最低ラインも引下げられることになります。
今般の基準引下げの動きは、保護受給者に限らず、すべての国民の生きる権利をないがしろにするものといえます。
3 生活保護基準の引下げにNO!生きる権利の尊重にYES!
安倍政権による今回の生活保護基準の改悪に対しては、すでに全国19地裁で違憲訴訟が提起されています。この裁判は、私たち市民全員の生きる権利を取り戻す裁判であり、かつ、人間としての尊厳を取り戻す裁判でもあります。
福岡訴訟では、生活保護基準の引き下げは憲法上の生存権を侵害するものであって違憲であること、基準引下げに至る手続がきわめて杜撰であること、厚労大臣の判断過程には看過できないほどの事実認識の欠如や事実評価の誤りがあることなどを理由に、基準引き下げ後の支給額変更決定処分の取消しを求めるとともに、生存権をないがしろにする国の姿勢に対して国家賠償請求を求めています。
憲法上の生きる権利の保障を実質的なものとし、誰もが安心して暮らしていける社会にするため、福岡における違憲訴訟も最後までたたかい続ける所存です。我われ弁護団一同、ぜひ多数の個人、団体の方々に、本裁判を支援する会にご参加いただき、活動をともにできればと考えております。ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上
【お問い合わせ先】〒810-0041 福岡市中央区大名2丁目10-29-2F
福岡第一法律事務所(電話 092-721-1211)
弁護士 星 野 圭(事務局長)
弁護士 國 府 朋 江