原発なくそう!九州玄海訴訟
近藤・毛利倫
2011年3月11日に発生した福島第一原発事故(3・11事故)は、回復不能な未曾有の壊滅的被害を発生させ、我が国史上はもとより、世界的に見ても、過去最悪レベルの原発事故となりました。原発が人類と決して共生できない危険性を持つことを最悪の形で証明した3・11事故により、わが国における原発の安全神話は完全に崩壊し、原発の危険性はもはや誰の目にも明らかになりました。
福島の被害を2度と繰り返さないためには、国の原子力政策を転換させ、この国からすべての原発をなくすしかない!
福島事故を防げなかった法曹としての責任を痛感した私たち九州の弁護士は、この共通の思いを胸に会議や合宿を重ね、事故から10か月後の2012年1月31日、1704人の第一次原告で、国と九州電力を被告とし、玄海原発1~4号機の操業差止め等を求める民事訴訟を佐賀地方裁判所に提訴しました。
私たちの「原発なくそう!九州玄海訴訟」の最大の特徴は、かつてない大規模な原告団で裁判を闘うことです。国の原発政策を根本から変えさせるには、圧倒的な脱原発の声を結集し、世論を大きく巻き込む「力のある正義」が必要です。そのため、私たちは、提訴前から、最低でも1万人の原告を集めることを公言して様々な取り組みを行ってきました。
その取り組みの積み重ねが実を結び、提訴から3年10か月経った2015年11月19日の第16次提訴で、原告数はついに1万87人になり、念願の1万人を達成しました。原告は47都道府県すべてに存在し、韓国やフランスなど海外在住の原告もいます。もちろん原発訴訟としては全国最大です。
3・11事故から5年半、事故原因すら一切解明されない中、原発避難者は、いまだ14万人を超え、3・11事故の被害は全く収まる気配がありません。
国民の過半数が原発の再稼働に反対する中、安倍政権は、3・11事故への反省や被害者への思いやりは微塵もなく、原発の再稼働を推し進めており、すでに川内原発(鹿児島県)と伊方原発(愛媛県)が再稼働し、今後も原発の再稼働が加速していくことが予想されます。
私たちの裁判は、原告1万人を達成したからといって終わりではありません。今後も原告弁護団は、新規提訴を続け、裁判と運動を両輪に活動を続け、必ず原発のない社会を実現するまで頑張りぬく決意をしております。
みなさん、日本からすべての原発をなくすまで、ともに頑張りましょう!